2023
Jan
26
2
復職のための産業医面談のあと、「ちょっと座ってくれないか?」と言われて・・・
部長が私に言った。「次のマネージャーなんだけどな?」
少しニヤついているような企んだような顔で口角の右側だけあがったような気がする。
きっと私の後任を誰にするか?の相談じゃないだろうかと予想がついた。
当然、このままこの役職で働いてもトップが変わらなければ私が怒られ続ける日々に終わりはない。
だからこそ「逃げ」という選択をした。
代わりがいるとかいないとか関係なしに、どうにかするだろうと思っている。
それが会社だ。
私一人いなくても回る。
逆に私の人生は私だけのもので私がコケたらそこで終わる。
私が終わるわけにはいかないのだ。
自分が降格になっても構わない。
後輩にたくす。
後輩が私ほど出来ないかもしれない。
そんなのは知ったことじゃない。
会議のたびに怒鳴られて、部下たちの失敗の恐怖に怯えながら、あと20年以上も過ごすのは無理だ。
誰でもいい。
代われ。
そんな思いで、病院へ行った。
適応障害にならなくても、今年度でマネージャーを辞める予定だった。
少し早まっただけだ・・・
後任の話だが、部長は山田の名前を出しそうだったが、絶対に水田だ。
山田は仕事が出来て評価は高いが先輩後輩関係なくダメなものはダメという性格で、実は山田を良く思っていない人間が多い。
正論を突き付けられて面白くない感情。
言い合いになれば山田が合っている。
合っているからこそのムカつき。
年上のプライド。
山田は先輩にも関係なく、仕事が出来るが上にズケズケ踏み込んでくる。
「偉そうなんだよ」
そんな言葉を聞いたことがある。
いざ組織をまとめるとしたら、力で引っ張るとは思うが相当な苦労をするだろう。
人は感情の生き物であって、自分の間違いは認めたくない生き物だ。
そこをあえて間違ってますよと言ってしまう山田にはきつい。
しかし水田なら、仕事の評価が低いが上役が知らないだけで、人当たりが上手い。
仕事中も色々な人が水田に話を聞いてもらいたくて寄ってくる様子を知っている。
聞き上手で、話したくなる男である。
何よりも、上司や先輩を敵に回すバカなことをしない。水田は賢いのだ。
部長をはじめとした上役が彼の素質を知らないだけで私がマネージャーになってからは評価を爆上げさせたのが水田だ。
推薦するなら水田しかいない。
そう答える準備をしたところで意外な言葉が部長から出た。
「空席にしようと思ってる」
私はうっと息が止まり喉仏が上に数センチ上がり、次の言葉が出ない。
少しの間を置き、上がった息を飲み込んで、つぶやくように「はい?」と返事をして部長の言葉をさらに待つ。
「いや、まず火の玉がダメで、次はこの人って人もいない」
それはわかってる。
でも空席はまずいように思う。
花形の中心部署にマネージャーがいないなんて、今後の利益計画はどうするんだろうか。
部長が続ける。
「それにダメになったから次ってのも変だろ?また次の人がダメだったら次ってなるシステムにはしたくないってのもあるんだよな」
空席って言っても、少なからず組織の花形部署のマネージャー業務だ。いなくて回るほど少ない仕事量でもない。
ちなみに今、私が休んでいる間は前マネージャーが戻って事務作業だけやって回してくれている状態だ。
その前マネージャーもあと1年で60歳定年である。
組織形態が変わって65歳って話もあるが、今のところ予定してるのが1年後だ。
誰かしら次の責任者は必要じゃないだろうか。
事務作業だけじゃダメだ。
そこからさらに利益をあげるべく組織改革をして方向性を示していく。
不在にしてまうのか?
違う。そうじゃない。大筋が見えた。
時間がかかっても、私の回復を待ち、戻すつもりだ。
ポジティブすぎだろうか?
自分の都合のいいように考えてないか?
もう一度冷静に考えても空席はおかしい。
私がやめている以上、代役は急務だ。
そこを入れない理由は、復帰後に形式上違う業務と言いつつマネージャー業務の出来ることだけからやってもらう。
とりあえずは医者の指示通り、復帰後は違う仕事をしてもらうがスタッフとして部長が私を手元に残した理由はこう考えるのが妥当だろう。
近からず、遠からずの仕事をして少しづつマネージャー業務に戻ってもらう。
だからこその空席。
部長が続ける。
「空席にして、今まで火の玉がやっていた仕事はみんなで手分けしてやってみる」
私は基本YESマンである。NOを言う時は、しっかりとした代替え案がないとNOを言ってはいけないと思っている。
代替え案がない場合は、まずそこにYESと答えてやってきた。
やった中で出来ない部分を相談するスタイルだ。
反論は出来ない。喉仏にたまった思ってることは、胸の真ん中に飲み込んでから小さく「はい」とうなずいた。
自ら辞任した私を必要だと言ってくれる言葉は嬉しい。
私は言うほどバカじゃない。
今、戻ってこいと言うのはあきらかな追い込みになりプレッシャーだし違反だからこそ、部長はあえて匂わす行動を取っている。
その匂いをかぎ分けられないほどバカじゃないという意味だ。
私が経営企画メンバーから外してくれとお願いしたこともやんわりと断られた。
「重役がそろう大きな会議に出なければいいだろう。そこは俺や課長が代理で報告する。今まで通り、俺が仕切る小さな会議には出れると思うんだけど、どうかな?」
もちろんそれには出れると答えた。
「じゃあ今まで通り、その会議には出てもらって企画したり意見してほしい」
産業医の先生にも何回も確認をしたのが、大きな声で怒る人がいる会議が原因でそれだけを取り除けばいいんですよね?という確認を何度もしていた。
事実、それさえなかったら私はやめなかった。
それだけを取り除いて戻すつもりだ。
変わりつつある組織
続く。
少しニヤついているような企んだような顔で口角の右側だけあがったような気がする。
きっと私の後任を誰にするか?の相談じゃないだろうかと予想がついた。
当然、このままこの役職で働いてもトップが変わらなければ私が怒られ続ける日々に終わりはない。
だからこそ「逃げ」という選択をした。
代わりがいるとかいないとか関係なしに、どうにかするだろうと思っている。
それが会社だ。
私一人いなくても回る。
逆に私の人生は私だけのもので私がコケたらそこで終わる。
私が終わるわけにはいかないのだ。
自分が降格になっても構わない。
後輩にたくす。
後輩が私ほど出来ないかもしれない。
そんなのは知ったことじゃない。
会議のたびに怒鳴られて、部下たちの失敗の恐怖に怯えながら、あと20年以上も過ごすのは無理だ。
誰でもいい。
代われ。
そんな思いで、病院へ行った。
適応障害にならなくても、今年度でマネージャーを辞める予定だった。
少し早まっただけだ・・・
後任の話だが、部長は山田の名前を出しそうだったが、絶対に水田だ。
山田は仕事が出来て評価は高いが先輩後輩関係なくダメなものはダメという性格で、実は山田を良く思っていない人間が多い。
正論を突き付けられて面白くない感情。
言い合いになれば山田が合っている。
合っているからこそのムカつき。
年上のプライド。
山田は先輩にも関係なく、仕事が出来るが上にズケズケ踏み込んでくる。
「偉そうなんだよ」
そんな言葉を聞いたことがある。
いざ組織をまとめるとしたら、力で引っ張るとは思うが相当な苦労をするだろう。
人は感情の生き物であって、自分の間違いは認めたくない生き物だ。
そこをあえて間違ってますよと言ってしまう山田にはきつい。
しかし水田なら、仕事の評価が低いが上役が知らないだけで、人当たりが上手い。
仕事中も色々な人が水田に話を聞いてもらいたくて寄ってくる様子を知っている。
聞き上手で、話したくなる男である。
何よりも、上司や先輩を敵に回すバカなことをしない。水田は賢いのだ。
部長をはじめとした上役が彼の素質を知らないだけで私がマネージャーになってからは評価を爆上げさせたのが水田だ。
推薦するなら水田しかいない。
そう答える準備をしたところで意外な言葉が部長から出た。
「空席にしようと思ってる」
私はうっと息が止まり喉仏が上に数センチ上がり、次の言葉が出ない。
少しの間を置き、上がった息を飲み込んで、つぶやくように「はい?」と返事をして部長の言葉をさらに待つ。
「いや、まず火の玉がダメで、次はこの人って人もいない」
それはわかってる。
でも空席はまずいように思う。
花形の中心部署にマネージャーがいないなんて、今後の利益計画はどうするんだろうか。
部長が続ける。
「それにダメになったから次ってのも変だろ?また次の人がダメだったら次ってなるシステムにはしたくないってのもあるんだよな」
空席って言っても、少なからず組織の花形部署のマネージャー業務だ。いなくて回るほど少ない仕事量でもない。
ちなみに今、私が休んでいる間は前マネージャーが戻って事務作業だけやって回してくれている状態だ。
その前マネージャーもあと1年で60歳定年である。
組織形態が変わって65歳って話もあるが、今のところ予定してるのが1年後だ。
誰かしら次の責任者は必要じゃないだろうか。
事務作業だけじゃダメだ。
そこからさらに利益をあげるべく組織改革をして方向性を示していく。
不在にしてまうのか?
違う。そうじゃない。大筋が見えた。
時間がかかっても、私の回復を待ち、戻すつもりだ。
ポジティブすぎだろうか?
自分の都合のいいように考えてないか?
もう一度冷静に考えても空席はおかしい。
私がやめている以上、代役は急務だ。
そこを入れない理由は、復帰後に形式上違う業務と言いつつマネージャー業務の出来ることだけからやってもらう。
とりあえずは医者の指示通り、復帰後は違う仕事をしてもらうがスタッフとして部長が私を手元に残した理由はこう考えるのが妥当だろう。
近からず、遠からずの仕事をして少しづつマネージャー業務に戻ってもらう。
だからこその空席。
部長が続ける。
「空席にして、今まで火の玉がやっていた仕事はみんなで手分けしてやってみる」
私は基本YESマンである。NOを言う時は、しっかりとした代替え案がないとNOを言ってはいけないと思っている。
代替え案がない場合は、まずそこにYESと答えてやってきた。
やった中で出来ない部分を相談するスタイルだ。
反論は出来ない。喉仏にたまった思ってることは、胸の真ん中に飲み込んでから小さく「はい」とうなずいた。
自ら辞任した私を必要だと言ってくれる言葉は嬉しい。
私は言うほどバカじゃない。
今、戻ってこいと言うのはあきらかな追い込みになりプレッシャーだし違反だからこそ、部長はあえて匂わす行動を取っている。
その匂いをかぎ分けられないほどバカじゃないという意味だ。
私が経営企画メンバーから外してくれとお願いしたこともやんわりと断られた。
「重役がそろう大きな会議に出なければいいだろう。そこは俺や課長が代理で報告する。今まで通り、俺が仕切る小さな会議には出れると思うんだけど、どうかな?」
もちろんそれには出れると答えた。
「じゃあ今まで通り、その会議には出てもらって企画したり意見してほしい」
産業医の先生にも何回も確認をしたのが、大きな声で怒る人がいる会議が原因でそれだけを取り除けばいいんですよね?という確認を何度もしていた。
事実、それさえなかったら私はやめなかった。
それだけを取り除いて戻すつもりだ。
変わりつつある組織
続く。